防ぐためには、性別で管理する必要がありました。
メスの生殖能力には、個体からの出産という問題がありますから、これを助長することはあっても、停止することはできません。
ところがオスの場合には、むしろ生殖能力を奪うことで、オス同士の争いを抑えられます。
さらに生殖能力が低いものを排除する大型化して、生殖能力も高まります。
その利用も初めは肉が目的でしたが、やがて乳をだす動物を重用して、その子どもたちから乳を搾取することを始めます。
牧畜民たちは、子ウシや子ヒツジに、一部だけ母の乳を与え、より多くの搾乳を行えるようにします。
そして最終的には、ホルスタイン種のように、大量の乳を出させるロ叩種までも創り出してきたのです。
ことで、優秀な個体群を維持することができます。
つまり去勢という技術です。
たとえば一○○頭のウシを飼えば、統計的にオス五○頭・メス五○頭となりますが、オスのうちから優秀な一○頭だけ残して特別に管理し、四○頭のウシを去勢してしまえばよいのです。
しかも去勢したウシは、おとなしく従順に牧夫の命令に従いますから、これを誘導オスとして訓練することで、比較的簡単に、集団としてのウシ飼育が可能となりました。
もちろん肉を必要とする場合には、去勢したオス牛から食べていきます。
ちなみに、この技術を人間に応用したのが、中国でみられた官官の制度です。
そのシステムは、もともとは中近東で起こったものでした。
はじめは肉と乳をたくみに利用する技術として、牧畜という文化が発達をみました。
そして、これを農耕に組み合わせることで、耕作用の役畜としても利用するほか、その糞を肥料とするという合理的な生産方式が誕生をみました。
こうした牧畜の技術を、さらに草原地帯で大規模に発展させたのが、遊牧文化です。
ウシやヒツジの食用となる牧草を、食べつくしたら次の地へ移動し、また元の場所に戻ることをくり返す生産方式です。
こながいゆきしばか文化人類学者で遊牧を研究する小長井有紀さんは、ヒツジは自動芝刈り機であり、自動種まき機だ、としばしば発言しています。
つまり彼らは、草を食べると同時に、糞をすることで草の生長を促すからです。
ここでも植物と動物のバランスが、うまく保たれることになります。
こうした遊牧文化の成立には、牧畜における去勢のほかに、騎馬の技術が必要でした。
つまり足の速いウマを、たくみに駆使して、群れとしての動物集団を、統御しつつ移動していくのです。
この点が、牧畜文化と異なります。
いずれにしても遊牧の生活においては、とくに乳が重要な食料源となります。
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